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Wine Paris 2026 現地レポート|フランスワインの底力を体感

今回の渡仏の目的は「次の一手」を探すこと

今年2月、フランス・パリで開催された国際ワイン展示会「Wine Paris 2026」を訪問してきました。

今回の渡仏の目的は観光でも単なる視察でもなく、クライアントにとっての「ワインの次の一手」を探すための現地調査です。

ワインの輸入や販促に関わる仕事をしていると、どうしても国内市場の延長線上で判断をしてしまいがちです。
しかし、ワインは本来、産地で生まれ、世界市場で評価される商品です。
その起点を見ずに戦略を立てるのは、地図を持たずに航海するようなものだと思っています。

今回はあえてテーマを絞り、フランスワインに特化して会場を回りました。

理由はシンプルで、日本市場におけるフランスワインの存在感は依然として圧倒的であり、その構造や動き方を現地で再確認することに意味があると考えたからです。

「次に何を扱うか」だけではなく、「どう扱うべきか」、「どう語るべきか」
そこまで含めて、次の一手を考えるための旅でした。

日本での準備が8割を決める

現地に行く前、日本での準備にはかなりの時間をかけました。

訪問予定の生産者やネゴシアンの背景、オーナーの人物像、担当者の経歴。
さらに国内のワイン関係者やフランス人ネットワークを通じて、評判やスタンスも可能な限り調べました。

誰が輸出に積極的か。誰が長期的な関係を重視するタイプか。誰が価格重視で動くのか。
こうした情報は、実際の商談の温度感を大きく左右します。

Wine Parisの便利なところは、事前アポイントのシステムが非常に整っている点です。
出展者の情報をオンラインで確認し、そのままミーティングを設定できる。

時間帯も細かく調整できるため、1日の動線設計がしやすいのです。
この仕組みのおかげで、現地では「探す時間」ではなく「話す時間」に集中できました。
海外展示会では、この差が成果を大きく分けます。

会場に入って最初に受けた衝撃

とはいえ、実際に会場に入ってまず驚かされたのは、その規模でした。

パリ南部の巨大展示場に各国のワインが並ぶなか、フランス館はまさに別格です。建物一棟まるごとフランスワインというスケール感で、しかも三層構造。

フロアを移動するたびに、産地が変わり、空気が変わり、語られるストーリーが変わります。

単にブースが並んでいるのではなく、「フランスというワイン国家そのものを歩いている」そんな感覚でした。

産地単位で動くフランスという構造

特に印象的だったのは、出展の単位です。

国としてではなく、産地としての塊で出展し、さらにその内部で組合や生産者団体がブースを構える。
つまり、フランスワインは「個人ブランドの集合体」ではなく「地域ブランドの集合体」として世界に提示されているのです。

AOCという仕組みは、単なる規制制度ではありません。
それは産地のアイデンティティを守り、価値を共有し、世界に向けて提示するためのフレームです。
この構造があるからこそ、小さな生産者でも世界市場にアクセスできる。そして産地全体としての力を維持できる。

そのことを、会場を歩きながら何度も実感しました。

小さなAOCの躍動

有名産地だけではありません。日本ではほとんど知られていない小さなAOCも、生き生きとした存在感を放っていました。

彼らは規模ではなく、土地の物語で勝負しています。
「この土壌だからこの味になる」「この気候だからこの品種が合う」

そうした説明を、実に自然に語るのです。それは営業トークではなく、自分たちの土地を語る言葉です。

ワインが単なる商品ではなく、地域文化の表現であることを、改めて思い知らされました。

■価格帯ごとのリアリティ

味わいの面でも驚きは多くありました。

2〜3ユーロ帯のワインであっても、きちんとした個性と完成度を持つものが多い。ユーロ高の今でも、「この価格でこの味か」と思わされる瞬間が何度もありました。

一方で高価格帯のゾーンは別世界です。完成度の高さ、熟成ポテンシャル、香りの奥行き。

ただ美味しいだけでなく、「なぜこの価格なのか」が理解できるワインが並んでいました。価格の幅がそのまま品質の幅ではなく、表現の幅として成立している。

これがフランスワインの強さだと感じました。

人がつくるワイン

会場では多くの生産者と話し、写真もたくさん撮影してきました。

どのブースでも印象的だったのは、人の表情です。ワインを説明するというより、自分の土地を語る。自分の家族の歴史を語る。そういう話し方をする人が多い。

ワインは農産物でありながら、文化財でもある。そのことを、現場の会話から強く感じました。

次はVINEXPO ASIAへ

今回のWine Parisで得た最大の収穫は、単にワインを見つけたことではありません。
「産地がどう動き、どうブランドを作り、どう世界と向き合っているか」その構造を肌で感じられたことです。

この感覚を持ったまま、次は5月のVINEXPO ASIA(香港)に向かいます。
そこでは日本ワインブースを出展します。今後は出店側に立つことになります。

フランスのAOCが持つ地域ブランドの力を見た今、日本ワインがどのように産地としてまとまり、どう世界に提示できるか。
その挑戦が、いまからすでに始まっています。

Wine Parisで感じた熱量を、そのまま次の現場へ。
ワインの世界は、まだまだ動いています。

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